なぜ人はコントロールできないことをなんとかしたいと思ってしまうのか

定数ではなく変数を動かすとは

今でしょ?!でおなじみの林修先生と
伝説のマーケッター森岡毅さんの対談で
林先生が、

「仕事ができない人は
 定数を動かそうとしがち」

「変数しか動かせないんだから、
 定数にこだわるのは時間の無駄」

という内容の話をされていました。

これに対して森岡さんが
よく言ってくれた!という表情で
「いやー。ホントそうなんですよ!!
 これがわかってない人が本当に多い!」
と激しく共感されていました。

ちなみに
「定数」とは、変わることができない、
または容易に変わることができない
要素や事象のことで、
「変数」とは、私たちの選択や努力で
変化させることができる要素や事象です。

これはまさに
コントロール可能なことに集中して
コントロールの及ばないことに対して
どうにかしようと悩まない。

ということ。

どうにもできないことに囚われる原因

でも、どうしようもないことや、
コントロールできないことで悩むのは
あまりに馬鹿らしい、というのは
誰でもわかることです。

なのになぜ、人は、
コントロールできないことを
どうにかしようとして
悩んでしまうのでしょうか?

それは、人には
どうにもできないことを
どうにかなるものと思い込み
どうにかなって欲しいと期待する

習性があるから。

人は誰しも、自分の考えたことが
「自分の思い通りに行ってほしい!」
と考えるものです。

それ自体は別に悪いことではありません。

ただ、その際に、なぜか人の脳は
自分が変わろうとするよりも
周りを変えようとしたがる
んですね。

理由は、シンプルで、
ラクしたいから。笑

本能的にそうなっているんですね。
そのほうが
効率的でエネルギーを節約できて、
結果として、生存に有利で
繁殖の機会も増えるからです。

だから
自分が変わるんじゃなくて
他人や周りの環境を変えたがる。
そういう傾向がもともとある。

その結果として、
コントロール可能な自分のことではなく、
コントロール不可能な他人や
外的要因をなんとかしようとしてしまう。

ということなんですね。

近代になって変わったことと変わらないこと

さらに、
近代の科学技術の発展が
この傾向に拍車をかけています。

例えば
エアコン、暖房、の発明で
本来コントロール不可能と思っていた
「気候」という外的要因が
一部コントロール可能になりました。

こういうことによって
自分が変わらなくても
発明やテクノロジーに頼ることで
周囲や環境を変える事ができる。

なんとかなる、コントロールできる、
と思いこむ傾向はより強くなりました。

つまり
自分を変えて環境に適応するのではなく
環境のほうを自分に合わせるように変える
ことに慣れてしまったんですね。

しかし、
発明やテクノロジーでは
未だにどうしようもない
コントロールできないがことがあります。

それは
自分以外の人=他人
です。

人の悩みの大半は「人間関係の悩み」です。

これは自分以外の他人を
なんとかしたい、
自分の思いどおりに動いてほしいと期待し、
思うとおりに、期待通りになるものだ
と勝手に思い込んでいることから
起きるものです。

そしてこの人間関係の悩みは
私たちの人生で、
最も頻繁に直面し、
また最も深い悩みになりがちで、
かつ複雑で簡単に解決できない
ことが多いものです。

これは
外部をコントロールすることでは
解決しきれません。

他人の考えや行動を変えるのは
むちゃくちゃ難しいし、
不可能なことがほとんど。

ではどうコントロールするか

そこは
自分が変わるしかない。

自分自身の受け止め方や解釈を変えたり、
相手が変わるように、
自分の行動を変えて影響を与える
ことならできます。

最終的にコントロールできるのは
「自分自身」です。

他人や環境を変えるのではなく、
自分のマインドセットや行動を変えることが、
悩みの本質的な解決につながります。

ここはまさに
コーチングが力を発揮するポイントでもあります。

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